医科同窓会について

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2018 理事長挨拶

昨年5月の社員総会では、財政安定化のための懸案の会費値上げをお認め頂きました。この議案がスムースに通過したことは、会館建設を含むこの数年にわたる執行部・理事会の活動が好意的な評価を受けた証と考えております。その会館活用も、ずいぶんと安定してまいりました。8F・9Fの会議室は予約がバッティングするほど中・小研究会に、活用されており、設営補助のアルバイトの調達に苦労するほどの状況で、当然、使用料収入の増加に反映されてきております。このことは会館がアクセスに便利であると同時に、東京医科歯科大学の即隣接という立地条件が幸いして学術会場として落ち着いた雰囲気を醸し出しているためと解釈しておる次第です。

門前クリニックならぬ館内クリニックも上向きとなってまいりました。母校の附属病院との連携が深まってきた効果が現れてきたと思われますが、ここに至るには開業の先生方が例外なく味わう石の上にも三年があったようであります。

会館はもちろん同窓会主催のイヴェントにも活用されており、千勝泰生委員長(医20)はじめ委員の方々の献身と努力に感謝したい気持ちです。昨年も、1月 千勝(ニューイヤーコンサート)、4月 松本暁子(医38、宇宙医学)、6月 坂本龍(医17、能への誘い)、7月 水島 昇(医39、オートファジーによる細胞内分解)、9月 鎌田 實(医22、地域包括ケアづくり・国際医療支援)ならびに10月 千勝(音楽祭をめぐって)が開催され、講演会はもとより演者を含めた懇親会で意見交換を通じて友好を深めることができました。それにしてもタレント人材の豊かなことには驚くばかりですが、それでも発掘すべき隠れタレントも少なくないと思われます。隠れた人材をご紹介いただければ幸です。

懸案事項としてつねに同窓意識の希薄性が指摘されてきました。本会でも、とくに東京における組織意識の薄いことが問題となります。区単位での支部活動では濃淡に著しさが認められますので、まずは隣接数区のブロック組織を強めるのが近道であると考えて支援活動を行っています。年内にはブロックの集合体である東京都支部連合の形成につなげたいと考えております。

若手に同窓会への関心を高めること大きな課題です。その方策はいろいろ試行してまいりましたが、既卒者のみならず学生にも働きかけを強めたいと考えます。その一つとして、これからスチューデント・ドクターとして臨床実習に入る5年生に白衣を贈りたいと考え、医学部長・病院長・教務委員長と相談した結果、来る4月2日の実習開始日に医学部主催で白衣授与式を行う運びとなっております。その白衣は、長裾やベンケーシースタイルの医師の白衣とは区別して、しゃれたジャケット・タイプとしたいと思いますが、費用がかさむので、2/3は同窓会負担、残りは大学医師会に援助をお願いしています。従来は、入学式と卒業式の間に、明確なイヴェントは解剖体遺骨返還式・慰霊式しかありませんでしたが、この白衣授与式は、学生にとって第2の記念すべきイヴェントとなり、医師に育つ者としての自覚を再確認する場になると期待しております。

同窓会の最大の役割は母校の支援であることは言うまでもないことです。しかし、母校の躍進は皆さんよく御存じのとおりですが、独立法人としての財政状況にはきわめて厳しいものがあり、会報前号(N0.277, p18-21)で同窓会員の方々に大学基金への寄付協力をお願いしたところであります。幸い会員の皆さんの理解を得て、短期間に相当額の寄付をいただいたと、財務担当副学長から報告と御礼の挨拶をいただいたところでございます。協力を呼びかけた私たちにとっても大変うれしく、この場をお借りして御礼申し上げる次第です。

昨年は大学ならびに医学部と同窓会との連携が深まった年でもありました。本年も連携がさらに深められるように努力いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

佐藤 達夫(医11・昭38卒)

秋の叙勲

昨年2017年、秋の叙勲において瑞宝中綬章を受章いたしました。それに1年ほど先立ち大学から打診があり。それ以来、東京医科歯科大学 (TMDU)の人事課と東京有明医療大学(TAU)の総務部に書類の作製などで大変お世話になりました。学会などの役職などの履歴についても一々問い合わせて文書で確認をとるなど煩雑な事務が必要であり、また業績調書の作成にあたって臨床解剖学秋田恵一教授とTAUの林 洋副学長にお世話になりました。ご迷惑をおかけした多くの方々に心から感謝申し上げます。

今回の受賞は、長年にわたる国公私の医療系大学における教育と研究その他の活動へのねぎらいかと思われますが、なかでも本学における29年3か月にわたる教員としての勤務がもっとも重要なことは言うまでもありません。当然、TMDUには思い出も少なくないのです。

1969年に解剖学第2講座に大学院生として入室しましたが、格別理由があったわけではありません。本号の41ページに、尊敬する大野喜久郎名誉教授(医19)は中学時代にすでに脳外科医になることを決めていた、というくだりがありますが、好きなこと、やりたいことがあることほど幸せなことはありますまい。それにくらべ私の場合は、不得意の分野を除外した末のネガティヴな苦渋の選択でありました。しかし今になって思うのは、大切なのは進路の選択ではない、そこでいかに活動するかだ、ということでしょう。

解剖学は教育のイメージが強い。しかし面白くない。これを何とかしたい。優秀な学生たちに対峙するには、「構造の原理を尋ねることで、解剖学は形態学になる」をモットーに進むしかあるまいと思ったことでした。しかし薬にたとえると、原料と製造法が良質でも、調剤法と服用法が生かじりのままでありました。当時の学生にはずいぶんと迷惑をかけたと思います。再び生まれ変わったら何をやりたいと問われれば、もう一度同じことをやりたいと答えることでしょう。こんどはもう少しうまくやれる気がするからです。解剖学実習に必須の献体に関する諸問題にも、広く深く関わりをもたざるをえませんでした。TMDUの献体の会が成長して遺体不足が解消したこと、また献体を国家的に認知した1983年の献体法の制定を見届けることができたことは幸せでした。

外科の先生方のお誘いで機能温存手術支援のための臨床解剖学に手を染めることになったのは、幅を広げるのに役だったと思います。胃・食道・乳腺の取扱い規約のリンパ節表示図の作成に携わったことは楽しい思い出です。最近でも、鏡視下手術のおかげで、これまで気づかなかった細かい神経や血管それに筋膜が見えるようになり、それらの中枢側における繋がりが問題となってきています。自然と解剖の出番が増えて、その余沢が私にもおよぶようになりました。

校務と公務では、千年紀の変り目の諸改革に遭遇し、少なからぬ重要課題に関係せざるをえないはめになりました。学内では大学院化にともなう諸事、学外では懸案の医学教育改革におけるモデル・コア・カリキュラムの作成と臨床実習前の共用試験の設計など、困難なプロジェクトでした。それから20年近くの歳月が流れて、母校の隆盛と医学教育の改革の急激な進行をみるとき、感慨深いものがあります。

以上のように私は改革の激動期を経験することができましたが、役目がらから、また立地条件の良さから関わりをもてたというのが本当のところで、委員の先生方が動きやすい環境を維持することだけが仕事でありました。今回の叙勲も常に支援してくださった、いや実質的に活躍してくださった諸先生方のお力によるものであります。別言すれば、私は、多くの改革の決定的瞬間に居合わせた、実に幸運な人間といえます。この機会に会員の皆様に心から御礼を申し上げる次第です。

佐藤 達夫(医11・昭38卒)